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セミナーでお答えできなかったご質問の回答

ご質問

回答

購買力平価からみて、ユーロドルはどのあたりが適当な価格でしょうか?

各金融機関の平均は1.25±αです。ご参考までに、PPP(購買力平価)はCPI基準なのか、PPI基準なのかによっても違ってきますし、またPPP=SPOTをどの年をベースにするのかによっても違ってきます。

日銀が国債を直接引き受け、お札をどんどん刷れば、デフレは解決するのでしょうか?

日本がゼロ金利政策、量的緩和策を維持していながらも、久しくインフレになっていません。日本が抱える少子高齢化、需給ギャップ、また年金破綻等の構造上の問題が、現在のデフレの根本的な理由であると考えられます。そのためここのところにメスを入れなければ、金融、財政政策だけではデフレが解消されるとは思いません。余談ではありますが、こんな中でも個人的には為替政策=円安政策をとることにより、ある程度のデフレ状況の緩和に繋がると考えておりますが、先にお話ししたとおりそれだけでは十分でないでしょう。

ユーロと共に注目されている「人民元」の切り上げが起こった場合、ユーロや円、ドルに与える影響は?

一般的に「人民元の切り上げ」=円高との認識が市場にはありますが、個人的にはそう考えません。確かに人民元高は日本の輸出にとってプラスに働くでしょうし、人民元高のヘッジの為に円を買うことが理にかなっているように見えます。しかしながら、中国と日本のファンダメンタルズの状況が明らかに違う為、必ずしも元高=円高の相関関係が成り立つとは限りません。米国にとっては輸出を増やすというオバマ政権の政策からも元高=ドル安は好ましいことでしょう。ユーロにとっては直接的に「元切り上げ」が為替相場に影響するとは思いませんが、間接的には元切り上げによりドルとのペッグ制が崩れ、外貨準備の必要性が減少して、これがユーロ売りに繋がるかもしれません。

高金利通貨に逃げてきますか?新興国はどうなりますか?

ソブリンリスクと並んで出口戦略は今年の重要なテーマの一つです。金融政策を正常化して金利を上げられる国と、上げられない国との二極分化が明確になるでしょう。その際、高金利通貨は当然低金利通貨に対して恩恵にあずかりますし、またキャリーが盛んになると思われます。 同様に中国を始めとし世界景気を引っ張る新興国通貨は利上げ、ないしは通貨切り上げ圧力が高まるのではないでしょうか。

離脱するのは、ドイツですよね?

一部にはそのような憶測も出てきています。しかし、ドイツがユーロ、ないしはEUから離脱すれば、それはユーロ、EUの終わりを意味します。それ故そのようなことは現実的でないと思われます。

ユーロはどうなるのですか・・・買えない。

セミナーでもお話ししたとおり、今回のユーロ売りはEUの構造上の問題とも絡んでおり、息が長いものになると思われます。為替は相対的なものである為に、ドルや円にとって大きくネガティブな材料が出てこない限りユーロが大きく反発することは考え難いと思います。

ソブリンリスクが2012年ないし2015年までに日本にまで波及する可能性があるとお考えですか?

決して対岸の火事ではありません。今後5年以内には貯蓄率がゼロになるとの民間の試算もあり、国債の国内消化は限界を迎えるでしょう。そうなると日本の債務問題はにわかにクローズアップされ、日本売りが現実のこととなると個人的には考えています。 もしお時間があれば1月14日のセミナーの動画をご視聴し参考にしてくだされば光栄です。

年内に、スペインやイタリアに飛び火する可能性もあるでしょうか?

市場ではもう既にPII(G)Sを意識し始めています。為替市場は先走って材料を読み込む傾向があります。一つの事柄がどんどん波及していく為、お話ししたようにギリシャ問題は非常に根が深い問題であるでしょう。

1.アイスランド・ドバイの方が早かったですね。これはどうですか?
2.ギリシャに貸し込んだ欧州の銀行のためその国が銀行救済をするのですよね?
3.欧州はまだサブプライム対応をしていないですよね?

ご指摘のように、欧州の金融システムが未だ磐石であるとはいえません。中東、南欧、東欧そしてロシアの状況により、いつ金融不安が再燃するかわかりません。その際には各国の金融システムは基本的にはその国が財政・金融政策により支援します。サブプライムに絡む処理に関して欧州の金融機関が更なる償却を強いられるとの意見もあるようですが事実はわかりかねます。しかしアイスランド、ドバイ問題を始じめとして先にお話しした地域でソブリンリスクが再燃する可能性を考えますとユーロ、あるいはその対応によりEUが脆弱な状況であることに変わりありません。

需給の要因もあると思うのですが、通貨とは国力に左右される要素が強いのでしょうか?

ご指摘のとおり、短期的な通貨の変動要因は様々にありますが、突き詰めて考えると最終的〈長期的)には通貨の価値は国力を反映すると考えられます。

ECBの金融政策は、加盟国の金融政策とどう違うのでしょうか?

セミナーでもお話ししたとおり、ユーロ導入国の金融政策はECBの専管事項であり、各国に金融政策の決定権はありません。各国は専ら財政政策のみにその権限を有します。