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セミナーでお答えできなかったご質問の回答

ご質問

回答

新興国で有望な国はどこでしょうか?

実際、BRICsやVISTAを凌ぐ経済成長と遂げている国(アゼルバイジャン、アンゴラ、アルメニア、赤道ギニア、トルクメニスタン等)は多くあります。またこれらは資源国で、今後の成長も有望視できるでしょう。ただしこれらの国で問題なのは人口が極端に少ないと言う事実です。成長と言う点では有望ですが、投資となると別問題です。資源国ではなくても人口と教育また安定した政治があれば十分成長の余地があります。その点で、特に中国、インド、ブラジルはまだ十分成長の余地があると思います。

基軸通貨として、ドルの暴落はあるか?

セミナーでもお話ししたとおり、ドルに代る代替通貨がないために基軸通貨としてのドルの暴落はないと思います。また世界の国々もそれを望んではいません。原油、金をはじめコモディティは基本的にはドル建てであり、世界の貿易、投資決済がドル以外で行なわれることが日常なことにならない限り基軸通貨が変わるということは想定できません。極論ではありますが、ドルの価値が再び金に裏打ちされても、最大の金保有国はアメリカであり、そうなれば自然とドルの価値は上がります。余談ではありますが2つの世界大戦前はイギリスポンドが基軸通貨でした。世界大戦のような何か突発的なイベントが世界政治経済を根底から揺るがすことはないとは言えません。

オーストラリアの次がアメリカだとすると利上げの時期はいつごろだと思われますか?

昨日(15日)、FRBバーナンキ議長は「テクニカルな意味では景気後退は終了した公算が大きいが、しばらくは経済が非常に軟調と感じられるだろう」と述べましたが、これはイメージ的にかなりぴんとくるものです。2010年のアメリカの潜在成長率にもよりますが、多くのエコノミストが予想するように2.5%前後になるのであれば、来年3Qになるのではと思います。しかしセミナーでお話ししたとおりコマーシャルモーゲージがさらに焦げ付くようであればもちろん利上げも遅れるでしょうし、また市場が予測するより雇用、消費が伸びて前倒しになることもありえると思います。日々、市況を精査し、市場と対話してフィーリングを掴んでください。

現在のモラトリアム相場が終焉すると為替は荒れそうでしょうか?

個人的には現状の相場のほうが歪んでいるように思います。各国が景気回復のため自国通貨安を望んでいるわけですが、そのなかでも、例えば、日本、スイス、カナダ、そしてニュージーランドのように自国通貨が強い国もあります。日本以外の国は自国通貨高を市場で牽制していますし、また韓国は実際に自国通貨売り介入をしました模様です。むしろ各国の金融政策がノーマルに戻っていく過程で相場が荒れ、それ以降は素直に景況感と、金利に反応していく相場に戻ると思います。

介入があるとすれば条件はどういったものが考えられますか?

日本の景気回復が専ら外需に頼っている事実を考えると、ドル円が90円を下回ってくれば当然実体経済に悪影響をあたえるでしょうし、また株価にも悪影響を与えます。その為に条件的には90円を下回ってくる円高が進行するようであれば、介入の条件は整っていると言えるでしょう。

来年、日本の財政赤字が円安の原因になる事はありうるのでしょうか?

ありうると思います。特に海外勢はこの問題に敏感ですし、日本国債の格下げ(債券売り)、株安、円安と言った最悪のシナリオも想定されるでしょう。この意味でも民主党政権の舵取りは重要です。

個人の資産を円で持つべき?ドルで持つべき?どの程度の比率で持つべきか。

個人資産のカレンシー・アロケーションは一般で議論されるほど簡単な問題ではありません。これはひとえにご自身のライフプラン、好みや資産に深く関わってくる問題です。海外との接触が全くないのであれば円資産保有が基本でしょうが、日本の将来の悪いパターン、経済的、地政学的、また自然災害的リスクを考えるとやはり外貨の保有は必要かと思われます。その際私は日本が北半球にあることもあって、南半球通貨、特に豪ドルの保有をお勧めしています。しかしあくまでもこの件に関しては各人個人のテーラーメイドとなります。

原油や金などの商品と為替は逆相関なのでしょうか?

商品などの市場にヘッジファンドや年金基金また日本の投資資金が流入するようになり、特に米ドルと逆相関が見られるようになりました。特に金は欧米ではカレンシー(通貨)の一つと捉えられているために、金価格が上昇すると、ドルが売られます。ただしアメリカ人投資家にはコモディティは米ドル建てであるために為替リスクはありません。念のために。

日本は株価も為替も同時に悪い方へ進んでいるように見えます。何故日本だけが悪い方向へ向かうのでしょうか?

昨日(15日)お答えしたとおり、日本が貿易立国であるという構造上の問題があります。その為に円高になれば、国債優良銘柄が売られやすいという相関上、日経平均も売られてしまいます。 しかし時折り、円高=株高、円安=株安、である場合も起こりえます。前者は日本買いのシナリオ、後者は日本売りのシナリオとなります。

ズバリ、現在の対ドル円高の最大の原因は何でしょうか?

1・市場でのドル安センティメント 2・HIA(本国投資法)やその他需給の傾き 3・市場の安心感。(藤井民主党最高顧問の円高容認と思われる発言)

円高によって日本の銀行における信用構造に変化はありますか?

円高が日本の信用構造に影響を与えるとは思いません。むしろ、タイムリーな話題なのでもう少しお話ししますが、亀井郵政・金融担当大臣が「モラトリアムの導入」を政策の一つに挙げて入ることが大きなインパクトがあります。「モラトリアム」議論は貸し手の側を全く無視しており、銀行がリスクを負って貸し出しをするとは思われず、一層の貸し渋りが起るでしょう。

円高は日本にとって有益なのでしょうか不利益なのでしょうか?

長い目で見れば自国通貨高はその国の国力の表れですから有益でしょう。しかしながら足元では円高は日本の景気回復を阻害し、株価を下げ、最悪日本に空洞化をもたらします。重要なことは円高に耐えうる国策の元に構造改革(=日本の国の在り方)をする必要があります。ただしその過程には相当の時間がかかります。

円高は日本経済が評価を受けているという事、なのに株価が低迷しているのは評価されていないという事、投機的な思惑で動いているのですか?

現在の円高は、日本経済が評価をされての円高ではなく、「ドル安」の側面が強い円高です。通貨ペアを見る場合の主語を絶えず頭の中に入れておかれることは重要です。ドル安なのか?円高なのか?はっきり言って今の円高は悪い円高です。円高になり、日本の代表的な輸出企業は打撃を受け、賃金は上がらず、雇用が脅かされます。日本の景気は悪化し、株価は下がります。実体からかけ離れている円高ですが、他の方の質問にも答えてありますが、短期的にはこの動きが続くかもしれません。しかしながら95年の超円高の時のように実体経済とかけ離れた動きはやがて是正されます。

今後、鳩山政権が、為替相場を左右するとすると、その最大の要因は何だとお考えでしょうか?

短期的な最大の要因は藤井最高顧問(財務大臣)の円高への考え方。長期的には日本の財政赤字と内需重視の経済政策。 であると思います。

新興国通貨ではとこが今後有望でしょうか?

上に重複

日本企業の想定為替レ−トを教えてください。

企業によりばらつきがありますが、ドル円は95円。 ユーロ円は127円のところが多いと思います。 もちろんこれより保守的な企業もありますし、また逆もあります。

中国の株式市場は強いようですが、中国の株式市場によるドル円の影響はあるのでしょうか?

中国の株式市場が堅調であれば世界の株価に好影響を与えます。足元ではこれが市場のリスク許容度を増し、ドル安になるというのが一般的なコンセンサスであります。しかしこういったマーケットコメントは時勢により変わります。中国株の上昇はいろいろな側面があり、確実な方程式はないと私は思います。

そろそろ円安になる材料ってありますか?

他の質問ともかぶりますが、材料的に円(日本)を主語で考えるとHIAと政府の円高容認姿勢以外に円を積極的に買う理由は見当たりません。重複になりますが実態経済とかけ離れた動きはいずれ是正されます。

現在の円高の輸出企業に与える影響を教えてください。

本邦輸出企業の競争力を削ぎ、収益悪化につながります。日本の国内需要が弱いため、現地生産等の空洞化が加速されることにつながります。

南アフリカランドは数年前は16円から18円くらいでしたが、そのくらいに戻るにはあと、どれくらい時間がかかるでしょうか?ワールドカップの影響はあるでしょうか?

ワールドカップの影響はないとは言えませんが、それほど大きくはないでしょう。ランドは高金利通貨の代表であり、かつコモディティ価格の上昇と世界中の投資家のリスク許容度の高まりにより、堅調に推移すると思われます。対円では足元の円高が一服し円安方向にターンすれば、個人的な意見ですが1年前後かもしれません。