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排出権先物価格連動債券〜愛称:エコリンク債 Q&A

Q&A本債券は排出権の先物価格に連動していますが、排出権の現物市場は存在するのですか?
存在する場合、現物価格はどこで公表されていますか?
アンサー 本債券は欧州排出権取引制度により確立された欧州域内で有効な排出権であるEU排出権(EUA)を原資産とする上場先物の価格に連動します。EUAやCER(国連が認定した世界各地のプロジェクトから生み出されグローバルで有効な排出権)等の排出権の現物取引は主に相対取引で行われており、取引価格も通常公表されておりません。一方、排出権先物は取引所に上場しており、排出権現物と比べて取引高も多く流動性があるため、金融商品に適しています。なおCER(=国連が認定した排出権)の先渡し契約も2008年3月に上場され、取引されております。CERは、グローバルで有効な排出権でありますが、プロジェクトリスクやカントリーリスクがあり、EUA価格に比べディスカウントで取引されております。いずれにしてもEUA先物が最も取引高が多く流動性があります。排出権現物(CER)の先渡し契約別の価格は以下のWEBサイトで確認できます。
新しいウィンドウで開きます。 CERについて(英語)
Q&A排出権先物価格とはなんでしょうか?
アンサー ECX(European Climate Exchange・欧州気候取引所)が管理する、ICE(Intercontinental Exchange)先物取引所に上場されている2008年から2012年の間に二酸化炭素換算で1トンの温室効果ガスを排出する権利の先物価格です。
現在、2008年12月限を最短、2014年12月限を最長とする複数の限月が上場されています。
Q&A排出権先物価格が決定される要素はなんでしょうか?
アンサー 基本的に需給により決定されます。需要は景気動向、気象状況、エネルギー価格、二酸化炭素排出削減技術開発の進捗等の多くの要因に左右されると考えられます。一方、供給は世界各国に割り当てられた排出許容枠や新興国等における開発プロジェクトから発生する排出権等により決定されます。
Q&A排出権先物価格の変動要因は?
アンサー 排出権先物価格を決定する最大の要因である需給は、気温(天候)やエネルギー価格(石炭、原油、天然ガス)、低カーボン技術(Carbon Capture & storage等)の発達が大きな影響を及ぼします。当然ながら、景気動向もエネルギー需要を通して影響を及ぼします。
ポスト京都議定書(2013年以降)の排出権取引の枠組みの議論が進行中であることから、その枠組みの決定の仕方次第で将来の排出権の需給の大筋が決まり、価格の決定要因に大きな影響を及ぼすと思われます。また、決定した枠組みの中では各国の排出枠順守の進捗状況が排出権の需要に直結します。
Q&A排出権先物市場における取引高は、どの程度ですか?
アンサー ECX(European Climate Exchange・欧州気候取引所)が管理する、ICE(Intercontinental Exchange)先物取引所において日々取引が行われており、過去1年間の1日あたり平均取引量は約400万トン、同平均価格約21ユーロ/t、同平均出来高8,400万ユーロ(135億円相当、1ユーロ160円換算)となっています。
Q&A排出権先物価格は日々、変わりますか?
アンサー 日々取引される中で変動します。
Q&A排出権先物価格は、どこで調べられますか?
Q&A京都議定書によって定められた削減目標をEU各国が達成困難の場合には、EU排出権先物価格は上昇するのでしょうか?
アンサー 削減目標を達成できない、即ち、排出量が排出枠を上回る場合は、排出枠を購入する必要がありますから排出権価格は上昇し、EU排出権先物価格も上昇する可能性があると考えられます。一方、排出量が削減達成後の排出枠を下回るということであれば、その分排出枠が余りますので、排出権価格は下落し、本債券の連動するEU排出権先物価格も下落する可能性があります。
Q&A排出権価格の見通しは?
アンサー 排出権価格はCO2削減技術にかかるコスト、即ち、1トンのCO2を減らす際にかかる技術投資コストと見合うレベルに決定されると考えられます。排出権先物価格は排出権価格と正の相関関係にあると考えられます。
排出権先物価格連動債券にとってベストシナリオは、温暖化防止のためグローバルに各国が一致して厳しい排出量制限を導入することです。それにより、排出権の需給が逼迫し価格が上昇、ひいてはCO2削減技術への投資が促進されると考えられます。
ワーストシナリオは温暖化防止へのグローバルな協力体制が崩れ、排出量制限による温暖化防止シナリオが崩壊することです。
Q&A京都議定書に含まれていない中国やインド等の発展が著しい新興国によって、排出量が増えた場合等の影響をEU排出権先物価格は受けるのでしょうか?
アンサー 現在の枠組みでは直接的には影響を受けませんが、温暖化を防ぐために、EUがより厳しい排出枠を各国に設定すると、結果的にEU排出権先物価格が上昇する可能性があります。
Q&Aポスト京都議定書の見通しは?
アンサー 欧州は2020年までに1990年比で20%のCO2削減を行う方針を決定しており、ポスト京都議定書でも世界をリードする方向にあります。また米国、カナダ等の京都議定書を批准していない国も、ポスト京都議定書には参加する意向を示しています。さらに近年の異常気象の明確化等を受けた温暖化に対する危機感が世界的に高まっており、先進国がより厳しい削減目標を設定し、中国・インド等の開発国も枠組みに参加するという方向性が、国連気候変動枠組条約締約国会議を含めて打ち出されています。
Q&A本債券の主なリスク事項は?
アンサー EU排出権先物価格リスク、為替リスク(ユーロ対円)、金利変動リスク、発行体の信用リスク、また、中途売却の際は流動性リスクがあります。
Q&A額面3,000ユーロ購入した場合、償還時において益が出る場合、損失が発生する場合の具体的数字を計算式で示してください。(利息部分及び税金を勘案せず。)
アンサー 行使価格を25ユーロとした場合、償還時の排出権先物が30ユーロに上昇するケースでは、償還金額が3,000ユーロ×(30/25)=3,600ユーロとなり、600ユーロの償還差益が出ます。
一方、当初条件が同じで、償還時の排出権先物価格が20ユーロに下落したケースでは、償還金額が3,000ユーロ×(20/25)=2,400ユーロとなり、600ユーロの償還差損となります。
Q&A最終償還価格が0%となる場合がありますか?ある場合はどのような場合ですか?
アンサー 極端なケースですが、例えば著しくCO2排出を削減する技術が開発され、劇的なCO2削減が可能となった場合や、あるいは、グローバルな温暖化防止への枠組みの崩壊等があった場合には、EU排出権先物価格がゼロになる可能性もあります。その場合には最終償還価格は0%となります。
Q&A途中売却ができますか?また、既発債券としての買付は可能ですか?
アンサー 本債券には原則として流動性はありませんが、およそ半年に一度途中売却の機会が提供されます。既発債券としての買付は出来ません。
Q&A途中売却時における買取価格はどのような要因をもとに決まるのですか?
アンサー 主にその時点でのEU排出権先物価格の動向、及び金利情勢によりますが、買取の額面金額、売買時の先物市場の流動性等の影響も受けます。
Q&A発行者の債務不履行は期限前償還を招くとありますが、これはスウェーデン輸出信用銀行がデフォルトした場合を指すのでしょうか?
アンサー そうです。
Q&A最終的な行使価格はいつ決定されますか?
アンサー 2008年7月30日(発行日)を予定しています。
Q&A課税の扱いについて教えてください。
アンサー  ・償還時まで保有の場合:
 償還差益が発生した場合:総合課税。
 償還差損が発生した場合:他のいずれの所得とも相殺出来ない。

 ・途中売却をする場合:
 売却益が発生した場合:譲渡益は非課税。
 売却損が発生した場合:他のいずれの所得とも相殺出来ない。
 経過利息の課税:無し。


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