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※2014/10/15現在

国旗ロシア連邦のご紹介

地図  

国名

ロシア連邦

首都

モスクワ

面積

1,707万平方キロメートル(日本の45倍)

人口

1億4,367万人(2014年1月)

民族

ロシア人

言語

ロシア語他

宗教

ロシア正教、イスラム教他

時差

日本−6時間(モスクワ)

格付

Baa1(Moody's)/BBB-(S&P)(2014/10/15)

  • ※外務省・JETRO、BloombergをもとにSBI証券が作成

歴史と政治

年月

略史

1917年

ロシア革命

1922年12月

ソヴィエト連邦が成立。

1924年

スターリンの時代(〜1953年)

1991年12月

ソヴィエト連邦が解体し、ロシア連邦成立(エリツィン大統領)

2000年

プーチン大統領就任(※メドヴェージェフ大統領を経て2012年5月再任)

ロシア経済の特徴〜豊富な原油・天然ガス

ロシアは世界で最も広大な国土を有する国として知られています。同時に、経済面では、豊富な資源を有する国として知られています。左上図は、同国の代表的な株価指数であるMICEX指数と原油先物(WTI)相場を同一グラフ上に描いたものですが、強い相関関係が認められています。即ち、原油価格が上昇する時、ロシア株は上昇する傾向にあるといえます。右上図にあるように、原油価格が上昇する時は、ロシアの純輸出(輸出から輸入を差し引いた数値)が増え、ひいては同国の経済成長が拡大すると考えられるためです。

ロシアは、天然ガスの埋蔵量でシェア21%と世界トップ(生産量では第2位)、また原油の生産量で同シェア12.8%と第2位(埋蔵量では第8位)の座を占めています。世界の人口増加や新興国の経済発展等を背景に、これらの資源価格が上昇したことから、ロシア経済も潤うこととなりました。

成長トレンドを辿るロシア経済

ロシアの名目GDPでみた経済規模(2011年)は1兆8,504億ドルとなっており、1999年から10倍と急拡大しています。リーマンショックの打撃を受け、2008年から2009年にかけては急減速し、一時は実質ベースで前年比11%減の水準まで後退(四半期ベース)しましたが、その後は再び拡大基調をと取り戻しています。

世界経済の拡大と原油価格上昇等を受け、GDPの約3割を占めていた輸出が2008年7〜9月期にピークを付けましたが、リーマンショックによる原油急落・需要減少により、09年1〜3月期には4割も減少してしまいました。ロシア経済はこの煽りを受け、2008年第4〜2009年第4四半期に5四半期連続でマイナス成長を記録することになりました。

しかし、その後は原油需要・価格の順調な拡大等により、再び成長を取り戻すことになりました。輸出は、2011年第4四半期に上記のボトムから2.2倍まで増加し、ロシア経済のけん引役となりました。

今後は消費や投資がけん引する可能性も

高水準の原油等資源価格がロシア経済を支えていることは確かです。しかし、欧米等でのシェールガス革命が進展した場合に、それらの需給が緩む可能性があり、中長期的には現在の経常収支の黒字額が減少する可能性が大きく、ロシア経済にとり、「脱資源」が重要な課題になっています。

その意味で、内需の拡大傾向は心強い材料です。上図にもある通り、失業率は長期的に低下傾向にあり、人々の実質可処分所得も着実に増加傾向を辿っています。その結果、ロシア経済に着実に中間層が成長しつつある模様で、今後は消費や、それを狙った投資が増え、ロシア経済を牽引する可能性が出てきているように思われます。

そもそも、ロシアのGDPに占める家計消費支出の比率は5割前後とあまり高くはなく、今後も伸びる「ノリシロ」も十分あるとみられます。

ロシア経済の現状

ロシア経済は、2010年以降、安定した経済成長を続けています。四半期ごとの成長率を単純平均すると、2010年は4.35%、2011年は4.30%、2012年前半は4.45%となっています。輸出の7割を占めるのが、原油・天然ガスなどの「鉱物製品」であり、その価格が堅調に上昇したため、概ね輸出が順調に拡大したことが大きな要因とみられます。家計消費も2010年第2四半期以降、2012年上半期まで、平均6%台半ばの順調な拡大を続けています。また、2012年3月の大統領選挙をにらみ、固定資産投資が、2011年第4四半期に前年同期比で13.2%増、2012年第1四半期に同15.0%増と急増したことも、成長率を高める要因になりました。

ただ、経済成長を支えてきた原油価格の上昇は、2012年第1半期には一巡し、同第2四半期には下落に転じています。欧州や中国などの経済成長が鈍化してきたことが背景です。このため、輸出は2012年6月以降、前年比で減少に転じ、経常黒字は2012年第1四半期404億ドルから、同第3四半期130億ドルまで縮小しています。このため、2012年下半期以降の成長率はやや鈍化するとみられています。

ロシアの通貨であるルーブル対円相場は、リーマンショック時に急落したものの、その後は概ね安定した推移となっています。これまで述べてきたように、この間の経済成長率が概ね安定して推移してきたことが大きな要因と考えられます。その結果、政府債務はGDP比で4%台に、民間債務は26%まで縮小し、外貨準備高も5千億ドル程度まで積みあがっています。ルーブルの安定性は着実に増しているとみることができます。

ルーブルの安定と、マネーサプライのコントロールを経て、インフレ率も長期的には低下傾向を辿ってきました。ただ、穀物の不作や公定価格の引き上げ等の影響で、2012年後半は、インフレ率が再上昇する兆しを見せています。このため、中央銀行は2012年9月に政策金利を、それまでの8.0%から8.25%へ引き上げました。インフレ率の上昇抑制を目指し、中銀はあと少し、金融引き締めを展開する可能性があります。

なお、政府は、積みあがる国内資金を国内にとどめることに現状では失敗しており、2012年は840億ドル(前年と同程度)の資金流出が見込まれています。今後、経常黒字が減少する見込みであることも考え合わせると、国内への資金流入を促すことは、ロシア政府の重要な課題とみられます。ただし、逆に考えれば、海外からロシアへの投資は今後、一層歓迎される可能性が大きく、相応の制度対応がとられる可能性があります。

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