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※2014/10/15現在

国旗インドネシア共和国のご紹介

地図  

国名

インドネシア共和国

首都

ジャカルタ

面積

192万平方メートル(日本の5.1倍)

人口

2億4,882万人(2013年・中央統計局)

民族

マレー系他(27種族)

言語

インドネシア語

宗教

イスラム教88.6%、キリスト教8.9%他

時差

日本−2時間

格付

Baa3(Moody's)、BB+(S&P)(2014/10/15)

  • ※外務省・JETRO、BloombergをもとにSBI証券が作成

歴史と政治

年月

略史

5世紀

この頃までに仏教が伝来。

7世紀後半

スマトラに仏教王国スリウィジャヤ王国勃興。

8世紀

ジャワ島に仏教国シャイレンドラ王朝。ボルブドゥール仏教寺院。

13世紀

イスラム教文化が浸透。

1602年

オランダがジャワに東インド会社。

1799年

オランダが東インド会社を解散し、インドネシアを直接統治。

1942年

日本軍が占領。

1945年

スカルノ及びハッタが独立宣言。スカルノが初代大統領に就任。オランダと独立戦争。

1949年

ハーグ協定により、オランダが独立を承認。

1968年

スハルト大統領就任。

1998年

アジア通貨危機を背景に全土で暴動・民主化運動。スハルト大統領辞任。

1999年

東ティモールが独立決定。

2004年

国民による初の直接選挙でユドヨノ大統領が就任。

2009年

ユドヨノ大統領再任。

基本的な特徴

ガルーダ(神の鳥)が守る多様性の国

インドネシアという国名は、ギリシャ語でインドを意味する「INDOS」と、島々を意味する(NESOS)が合わさって出来たものです。国章のモチーフにも用いられているガルーダ(神の鳥・創造力のシンボル)が、インドから伝わったように、インドネシアは古くからインド文化(仏教・シヴァ信仰)の影響を受けて発展し、さらに途中、イスラム教の影響も受けながら次第に発展していきました。
インド以西の西域と中国等を結ぶ「海のシルクロード」がこの地域を中継地として発展したことが影響しているとみられます。現在のインドネシア文化は、仏教文化とヒンズー教文化、イスラム教文化が融合したもので、仏教寺院のボルブドゥール遺跡は有名です。
17,500以上の島々からなる島々に300以上の民族が住み、使われる言語・方言は700にも及ぶという多様性に富んだ島国であることが大きな特徴です。平均気温28度(平地・海岸)という熱帯気候の島々に多種多様な動植物が生息しています。主要な島はジャワ、スマトラ、カリマンタン(ボルネオ)、イリアンジャヤ、サラワジの5つですが、人口の70%が集中しているのはジャワ島です。この他では、世界的なリゾート地として有名なバリ島なども知られています。
現在、天然ゴムやパーム油など豊富な天然資源を抱えていることに加え、若年層の多い世界第4位の人口を抱えていることから、経済の高い成長が期待されています。

経済の概況

1パーム油や天然ゴムなど、豊富な資源を輸出できるのが強み

インドネシアの強みは豊富な天然資源を有し、それを輸出することによって、高い経済成長率を図れる点にあります。特に有名なのが、世界生産量の40%強(第1位)を占めるパーム油や、同3割弱を占める天然ガスなどとなっています。
このうち、パーム油は、食用、マーガリン、石鹸等に用いられるのみならず、バイオディーゼル燃料にも使われ、人口の多い中国とインドが二大消費国となっていることが特徴です。その生産は、インドネシアの国家産業になっており、外貨の獲得に寄与するのみならず、石油輸入量の削減を通じてエネルギー獲得の安定、経常収支の改善を図ることができます。
ちなみに、こうした天然資源の輸出拡大がけん引役となり、インドネシアの輸出額は過去5年、前年比7%強のペースで拡大しています。IMF推計によると、2011年までの6年間、同国は経常収支で黒字が続いており、外為相場及び経済の安定要因となっています。

2若年層の多い世界第4位の人口

インドネシアは、人口2億3,760万人(2010年)で、世界第4位の多さとなっていることに加え、その年齢別構成(2014年・米国勢調査局推計)は、15歳未満が26.1%、65歳以上が6.4%となっています。一般的に新興国は先進国に比べ、若い人が多く、老齢人口比率が低いというのが特徴ですが、インドネシアは、他の新興国に比べても「若さ」が目立つ人口構成となっています。
若い年齢層の人口が多いということは、働き手となる生産年齢人口が将来、増加することを意味しており、将来の経済成長を促す要因になると考えられます。また、その分、老齢人口が少ないことにつながるため、社会保障コストが抑制され、財政健全化につながるとみられます。

インドネシア経済の現状

1本格的拡大期のタイミングにあるインドネシアの個人消費

既に述べた通り、インドネシアは豊富な天然資源を有しており、その輸出がけん引役のひとつとなっています。しかし、GDP(国内総生産)の支出別構成比で最も大きいのは個人消費(GDP比5割強)であり、次いで設備投資(同2割強)と、内需が合計8割弱程度に達しています。
インドネシアは「若年層の多い世界第4位の人口」を有する国として、個人消費が経済を牽引してゆく潜在力が大きいと考えられます。グラフにもあるように、個人消費の拡大は実際に、インドネシア経済拡大の原動力になっているとみられます。
ちなみに、前述した「15歳未満が26.1%、65歳以上が6.4%」という人口構成比は、1965年(東京五輪の翌年)の日本のそれに近い比率(15歳未満25.6%、65歳未満6.3%)になっています。また、インドネシアの一人当たり名目GDPは2010年2,974ドル、2011年3,469ドル(IMF推計)となっており、日本の1973年頃の水準となっています。
一般的に、一国における「一人当たり名目GDP3,000ドル」は、モータリゼーションがそこから急速に進展する分岐点と考えられています。インドネシアは、その人口年齢構成比の面からも、経済発展段階の面からも、今後は個人消費が急速に増えやすいタイミング(※)にあるとみられます。

2相対的に不安の少ないインドネシア財政/格付けも上昇傾向

先進国では、老齢人口の構成比が増加する中で、社会保障負担が財政を圧迫しており、特に南欧諸国では重大な問題となっています。しかし、こうした問題は概ね、先進国には共通した悩みとなっております。
インドネシアは既に述べた通り、若年層の年齢構成比が高いことに加え、順調な経済発展も手伝い、財政状態に不安は少ないとみられます。先進国との比較では無論のこと、他の東南アジア諸国と比べても財政状態は安定しているとみられます。世界の主要格付け機関も、それを評価しており、近年、長期債務格付けは上昇傾向となっています。
経常収支がこれまで黒字で推移してきたことや、財政状態が比較的安定し、格付けが上昇傾向にあることは、インドネシアへの投資を考える上で、重要なメリットであると考えられます。

3拡大が見込まれるインドネシアの直接投資

これまでに述べてきたようなインドネシア経済の発展・可能性と財政の安定化等を背景に、インドネシアに対する海外からの直接投資が再び増える傾向にあります。特に日本からの投資が目立って増えており、2011年は前年比2倍以上となりました。これを受け、2011年のインドネシア直接投資受入額は、現地通貨ベースで前年比18%増となる見込みです。
なお、増大する人口と発展する経済に、社会インフラ整備は追いついていないのが現状で、例えば首都ジャカルタの交通渋滞はひどいことで有名です。これに対し、インフラ整備を加速させようにも、用地収容に時間がかかるという「お国事情」があり、問題はなかなか解決されませんでした。
こうした中、2011年5月に、インドネシア政府は「経済開発加速・拡大マスタープラン」を策定し、約4,000兆ルピア(日本円で約34兆円)」の財政出動をテコに、2015年までの15年間でGDPを6倍に拡大させる目標を打ち立てました。さらに、同年12月には「用地収容法」が可決されたため、今後は、インフラ投資が加速すると期待されます。インドネシア中央銀行では、2012年の内外直接投資は前年比11%拡大すると予想しています。

4順調な拡大が続くインドネシア経済

足元のインドネシア経済も順調な拡大が続いています。GDP構成比が最も大きい個人消費が、所得の増加による中間層の成長を背景に、増加を続けていることが寄与しています。モータリゼーション到来のタイミングに来ていることもあり、2011年の新車販売は前年比17%増の89万台に達し、タイを抑えて東南アジア首位に躍り出ています。二輪車販売も同年、前年比9%増と好調です。2011年の小売売上高は前年比11%超増えた模様ですが、2012年も2桁成長が可能と報道されています。
「経済開発加速・拡大マスタープラン」推進に伴う社会インフラ整備の着工もあり、政府支出が増えている他、設備投資や輸出も好調です。実質経済成長率は2010年6.2%、2011は6.5%に対し、2012年は6.2%(Bloomberg集計の市場コンセンサス)が見込まれています。これに対し、インフレ率(消費者物価上昇率)は、2011年5.4%、2012年4.9%の上昇と、比較的安定した推移(同上)が見込まれています。

インドネシアの通貨と金利

リーマン・ショック後のインドネシア・ルピア及び債券相場は、インドネシア経済の成長性や財政の安定化を背景に堅調に推移(通貨高と金利低下が進行)してきました。しかし、欧州経済危機を背景とする世界的な信用収縮を背景に、インドネシア・ルピアは次第に下落基調に転じました。なお、信用収縮下では、ドル以上に円が強くなる傾向があり、インドネシア・ルピアもその分、円に対する下落率が、より大きくなっています。
2012年以降も、欧州を震源地とする世界的な金融システムの不安が強まった場合、インドネシア・ルピアは下押し圧力を受けるとみられます。同国中央銀行は、インフレ抑制よりも景気減速から経済を守る姿勢を重視し、2011年10月・11月、2012年2月に政策金利引き下げを実施しています。
しかし、通貨の急落に対しては、中央銀行が介入してくる可能性も指摘されています。インドネシア経済自体は、内需の堅調な拡大を背景に、新興国の中でも安定した成長が見込まれることや、財政が安定し、格付けが上昇傾向にあること等、インドネシア・ルピアを下支える要因も多く指摘されています。そして何よりも、インドネシアへの直接投資が増加傾向を続けていることが、ルピア相場の大きな支援材料になっています。

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