EU域内では、欧州委員会によって企業や設備毎にCO2等の温室効果ガスの排出量の上限枠(キャップ)が設定されています。この排出枠は市場において排出権として売買することができます。
例えば、企業Bがその努力で排出量の削減を達成し、排出上限を下回った場合は、余剰分を市場で売却することができます。
一方、排出上限を守ることが難しい企業Aは、超過分のCO2排出量に相当する排出権を市場から購入することで、CO2排出量を削減したとみなされます。
企業Aの排出量が減るわけではありませんが、実際に排出量を削減したBの枠を使うため、結果として欧州全体では温室効果ガスの削減が達成されたことになります。
CO2に値段をつけ、その値段が上昇すれば、削減する必要性や意欲が増すことで、実際に削減が進み、結果として地球環境の改善=温暖化抑制に寄与することが期待されます。 |
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〜当債券が連動するCO2排出権先物価格とは
欧州気候取引所(ECX=European Climate Exchange)の管理の下で、ICE(IntercontinentalExchange)が運営する取引システムに上場されている、欧州で2008年から2012年の間に1トンの温室効果ガス(CO2換算)を排出できる権利の価格です。欧州市場は世界全体の約7割のCO2の取引が行わる最大の市場です。
〜ECX(European Climate Exchange)とは
ECX・・・ICE先物取引所で取引されるCO2関連商品の開発及びマーケティングを行う英国企業です。ICE先物取引所で取引されているECXのCO2排出権先物及びオプションは、欧州で取引されているCO2関連デリバティブの出来高全体のおよそ80%を占めており、最も流動性があります。CO2排出権先物及びオプションは2005年4月に上場されて以来、出来高が増加傾向にあり、累計出来高は2007年9月現在、CO2量で13億トン、金額で240億ユーロ(約4兆円相当)に達しています。
〜EU排出権先物価格と出来高(2009年12月限)

〜EU排出権先物価格の一般的な変動要因 (主な変動要因でありこれらに限定されるものではありません)
(1)排出源の活動量
産業・運輸・オフィス・家庭等の活動の活発化がCO2の発生増加要因で、排出枠の需要が増加するため、排出権価格の上昇要因になり、これらの活動の不活発化が下落要因になります。
(2)化石燃料の状況
CO2の発生量が多い石炭の価格下落は、使用増加によるCO2発生の増加をもたらし、排出権価格の上昇要因になります。また、石油・ガスを含めた化石燃料全体の使用量増加も上昇要因になります。
(3)代替エネルギー開発
CO2発生量が少ない風力や太陽光発電などの代替エネルギー開発の活発化がCO2の発生減少要因で、排出権価格の下落要因になります。
(4)制度・政策変更
欧州排出権取引制度はEU委員会により制度化されたものであり、変更される可能性があります。
排出枠削減等の同制度の厳格化は、排出権価格の上昇要因になり、緩和化が下落要因になります。
また同制度は国連の温室効果ガス削減方針を前提にしています。
(5)市場の流動性
欧州排出権取引市場は、最終需要家、運用会社、投資銀行など認定された各業態の参加者によって構成されています。市場価格は参加者の様々な予測や売買動向に影響を受け、変動します。
市場の流動性は、金融市場や商品市場等の影響により変動し、売買が困難になる等の場合も 想定する必要があります。また、市場価格は、参加者の様々な予測や売買動向の影響を受け変動します。
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